暮らしの中心にあるテーブル、その原型とはどんなものだったのだろう。何万年も何十万年も前、道具も未発達の中で自然界にあるものをそのままに近い状態で、人々がテーブルに利用していたことは想像に難くない。地面に草や藁を敷いたり、平らな石を使ったり、倒木の切株を石釜ではつったりして・・・もしかしたら木を裂いて、割り肌を使っていたかもしれない。はつられた切株は次第に風化し年輪が浮でて、その上に土が積もっていっただろう。当時の人々は思っている以上に豊かな暮らしをしていた。木の実の栽培や野草の採取、狩猟から戻ると一息入れた後、住居の前で火をおこし、大きな切株で作ったテーブルにさまざまなものを盛りつけていた。時はゆったり流れていた。果実酒を飲み交わしながら、その日の出来事や家族の話を、夜遅くまで夢中で楽しんでいたに違いない。本企画では土の中から、年輪が浮かび上がってくるイメージの再現を試みている。こうすることで私たちの心の奥深くにある、生き生きとした感性が暮らしの中に蘇ってくる。実際の年輪を写真撮影してからPCで画像処理してシルクスクリーンの型を作成している。これだけではリアル感に欠けたので、更に塗装技術でこれを補正し、より現実感のあるものになった。BAUMシリーズは、日本独自の精緻な漆の技法を駆使することで、アジアにないクールな「和」の演出を試みている。また扉には障子を思わせるデザインと、渋い和紙のガラスを採用して、和のイメージを強めている。天板と脚・天板と柱のデザインに特殊な構造と、柔らかいフォルムを採用することで、モダンな印象にしている。これらの相乗効果で、このシリーズが拡大する海外市場への進出の可能性を拓いてくれることを期待したい。 米国産ウォールナット無垢材とカシュー漆塗装のコントラストがモダンな印象。
やさしい面形。
脚底のスライドキャスターが楽な移動を実現します。
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